世界遺産登録に向けた景観問題
2006-11-05
2006年11月4日の中國新聞に『世界遺産申請へ錦帯橋の駐車場移転』と題して、市が義済堂の工場跡地を観光バスの駐車場用地として購入を検討している旨の記事が掲載されました。
現在、錦帯橋のメイン駐車場である下河原駐車場は名勝指定区域内にあり、世界遺産登録を文化庁に申請する際、その審査でマイナス材料となることがわかったとのこと。
確かに、錦帯橋そばにある大規模な駐車場は景観を台無しにしています。しかし問題はそれだけではありません。以前から私がこのブログで書いてきました背景の山の問題も大変大きいと思いますし、近隣建物の問題なども含め、周辺環境全体で考えていく必要があると思います。
・ 「災害対策と景観」
・ 「続・災害対策と景観」
・ 「続々・災害対策と景観」
・ 「続、続々・災害対策と景観
」
ところで、既に世界遺産に登録されている広島県廿日市市の宮島でも以前から背景問題があり、その対策の必要性が、タイミングよく(?)今回明文化されました。2006年11月5日の中國新聞『宮島景観対岸も一体』の記事より引用させていただきます。
『広島県教委は、世界遺産の島・宮島(廿日市市)の文化財や自然環境を守る基本原則となる「特別史跡及び特別名称厳島保存管理計画」を31年ぶりに見直し、4日までに文化庁の承認を得た。
観光客らに不評の対岸の景観をめぐり、阻害する建築物の撤去などに向けた研究の必要性を初めて盛り込み、島の周辺と一体となった「文化的景観」の形成を目指す方向性を明確に打ち出した。
(~中略~)
議論のポイントの一つとなった周辺環境に関する部分では、対岸に「環境に違和感のある建築物等が並ぶ」と指摘。「将来的に撤去・修景するなどについて研究することが望ましい」と表現した。
(~後略) 』
宮島の場合、背景となる区域が海を挟んで広大に広がっています。対岸はすでに、高層マンションや山を削った住宅団地などで埋め尽くされた感があり、これを撤去・修景するのは、大変困難、いや事実上不可能だと思われます。
しかし幸いなことに、錦帯橋の背景はごく狭い区域であり、現在も錦帯橋周辺には高い建物などは少ないため、官民一体となって考え、ひとつひとつ問題を解決していくことができれば、それほど困難とは思えません。
市も市民も、そしてできれば観光客も、皆が一体となって景観問題を本気で考える時期に、今さしかかっているのではないでしょうか。
投稿者 Matsumoto : 2006-11-05 09:17